金の歴史と価格変動

この記事では、商品先物取引の代表銘柄であり、世界的にも重要な分散投資対象として位置づけられている、金(ゴールド)の歴史と価格変動について解説していきます。

金(ゴールド)の魅力

金(ゴールド)の魅力は、単に美しいだけではなく、高い希少性(価値)です。時代に左右されない安定資産として、資産管理の側面で注目されています 。古代から貨幣(通貨)の交換手段、資産の管理・蓄え、装飾品などとして使われてきました。現代では、科学や電子工学においても、金(ゴールド)は重要な役割を果たしています。

「金」は、通貨制度においても、最も上位に位置する基準とされてきました。これが、「金本位制」につながることになるのです。

金本位制とは?

ここでは、金投資をする上で押さえておくべき1900年以降の金と経済の歴史を中心に説明します。

大昔は、取引は物々交換でした。しかし、交換したい品物が必ず手に入る訳ではありませんでした。そこで、交換できる共通の物として生まれたのがお金(貨幣)です。貨幣は、価値が変わらず誰でも欲しがるものでなければなりません。

金(ゴールド)がこれに当りますが、重くて持ち運びには不便ですよね~

そこで各国の中央銀行(例えば、日銀、米国のFRB)が、「金(ゴールド)を預かりましょう」、そして、預け入れた金(ゴールド)との引換券(=紙幣)を発行するようになったのです。

各国の中央銀行や政府は金庫に保管している金と同じ額の「紙」を発行します。そして、いつでも金(ゴールド)との交換に応じなければならい仕組みです。この仕組みが「金本位制」です。20世紀には国際決済銀行とブレトンウッズ体制の礎となりました。

ブレトンウッズ体制とニクソンショックって何?

1944年、第二次世界大戦下で、連合国(米国・イギリスソ連・その他)が日本、ドイツ、イタリアを追い込み終戦が見え始めていました。

連合国は戦後の世界経済について話し合うための会議を米国で開きました。

この会議では、世界の国々が貿易を活発に行い、ともに経済発展する仕組みを作るために、国際通貨制度の導入を決めました。これを、「ブレトンウッズ体制」と呼びます。「ブレトンウッズ」という名称は米国にある地名です。

ブレトンウッズ体制とは?

ブレトンウッズ体制では、IMF(国際通貨基金)が導入し、経済的に困難な状況で経営破綻しそうになった国に対して、短期的に資金を貸し出し、経済の立て直しを援助するための「基金」を設立しました。これがIMF(国際通貨基金)です。

次に、世界銀行(国際復興開発銀行)の設立もしました。世界銀行は短期的ではなく、長期的に資金を貸し出す銀行です。

戦後、経済的に大きなダメージを受けた国は、復興までに長い時間を要します。長期的な借り入れをして、道路、鉄道建設などのインフラ設備、経済発展の基盤作りをします。そのために、世界銀行が設立されました。実は、日本も戦後に世界銀行にお世話になったのです。

基軸通貨の誕生

ブレトンウッズ体制では、世界各国の通貨を経済大国であった米国の通貨・ドルと結び付けることになったのです。

例えば、イギリスは、1ドル=○○ポンドのように、米国ドルを基準にしました。ドルが基軸通貨として、加盟国の通貨の基準となったのです。

第2時世界大戦後、ヨーロッパは大戦により、深刻な経済的損害を被りました。当時の米国務長官マーシャルは、西ヨーロッパの経済・資金援助を決定します。これが「マーシャル・プラン」です。

米国は、戦後の東西冷戦の構図の中で、ソ連に対抗する力をつけることを目的に、西ヨーロッパの経済復興支援のために多額の資金を供給しました。その結果、ヨーロッパには多くのドルが流通するようになり、自国の通貨に加えて、ドルが使用できるようになったのです。貿易などの経済取引が活発・スムーズにできるようになりました。

固定相場制を取り入れた

ではいったい何故、イギリスなどの加盟国はアメリカのドルを基軸通貨として信頼したのか? 

それは米国のドルが、金(ゴールド)を根拠としていたからです。ここ大事です!

実際に、ドルは、金(ゴールド)1オンス(約28g)につき、35ドルという基準で発行されていました。日本は1ドル=360円と固定されていました。

現在は(2019年10月)は、1ドル=108円前後で毎秒相場が変動していますが、固定相場制ではこのようなことはありません。円高や円安になる心配やリスクはなかったのです。この固定相場制を支える仕組みを金本位制度と呼びます。

ニクソン・ショックで大パニック!

こうした固定相場制、金(ゴールド)という確かな裏付で貿易が活性化しました。戦後の世界経済は、しばらく安定しました。

しかし1971年、当時の米国大統領ニクソンが「米国中心の国際通貨体制を停止する」と発表したのです。この一言で固定相場制は崩壊してしまいます。

これをニクソン・ショックと呼びます。

元々固定相場制を維持することが出来たのは、アメリカがドルと交換する圧倒的な量の金を保有していたからでした。

しかし、米国は海外の商品を積極的にドルで買い支払い、ドルの流通量が世界中に増加していきました。また、米国が朝鮮戦争やベトナム戦争に必要な武器や物資の購入で多額のドルを使い、流通量増加を続けました。

ドルの支出が続いた結果、米国の保有している金(ゴールド)よりも多くのドルが世界に溢れてしまい、固定相場の継続が難しくなり、ニクソン・ショックが起こったのです。

変動相場制への移行

固定相場制はドルが金と交換ができる担保があったからこそ、ドルの価値は保たれていました。ドルを担保(保証)する金がなくなれば、ドルの価値は下がりますよね・・・。

でも、世界の中で、米国の経済力は№1であり、ドルに対する信用が一切なくなった訳ではありませんでした。金(ゴールド)で、価値の裏付けが出来ないのであれば、ドルの価値を改めて、変動相場制を採用して、紙幣(お金)の価値を需給(需要と供給)バランスによって決めていく方法、変動相場制へ移ることになったのです。

各国の通貨も1973年頃までには、変動為替相場制に移行し、金本位制は終わりました。しかし、今でも、各国の中央銀行が支払準備金として金を保有していることは覚えておきましょう。

不換紙幣(ふかんしへい)

私たちが普段使っている1000円札や10000円札は、不換(ふかん)紙幣と言われています。金(ゴールド)に交換保証のない紙幣です。日本では、金(ゴールド)の裏付けではなく、政府の信用裏付けで、法律に基づき、お札=日本銀行券が発行されています。

金(ゴールド)の通貨としての役割 

金価格はドル相場の動きに影響を受けます。ドルの価値が上がれば金は下がる。ドル安になれば金は上がるというように、逆相関の関係があると言われます。

世界の基軸通貨であるドルに対して金(ゴールド)が、“代替通貨”としての役割を担っていることの表れともとれます。

金とドル為替の関係についてもう少しわかりやすく説明しますね。

為替要因(ドル高による消費国への影響)

ドル高になると、ドル建て資産の価値が高まりますね。そうすると、ドル建て資産である米国株式、米国債などに買い意欲が高まります。

金(ゴールド)は債権や預金とは異なり、利息がつきません。ドル高になると、金利のつかない金(ゴールド)を売って、米国債などを買う流れになります。

また、ドル高になると、米国の輸入コストが低下する結果、米国内の輸入物価が低下しインフレ圧力も低下します。インフレ圧力が低下すると、金(ゴールド)の買い意欲が後退して、売りの材料になります

ドル高 → 金保有妙味の低下 → 金は売られやすい

ドル安→ 金保有妙味の向上 → 金は買われやすい

米国の・政治経済・金融政策の行方にドル相場は影響を受けて変動します。金(ゴールド)は、世界の基軸通貨である「ドル」の代替通貨としての役割を果たしていくことになるでしょう。

中央銀行

中央銀行イメージ

変動相場制へ移行の最後に「今でも、各国の中央銀行が支払準備金として金を保有していることは覚えておきましょう」とリマインドしましたね。

ここでは、金が通貨としての役割を果たしている背景、なぜ?中央銀行は金を保有しているのかについて説明します。

中央銀行は、国の金融の中心であり大きな舵取り役です。日本では日本銀行、米国はFRB(連邦準備制度理事会)、ユーロ圏はECB(欧州中央銀行)です。皆様も聞いたことがあると思います。

中央銀行の役割の1つに「外貨準備」というものがあります。

外貨準備とは、為替介入の資金であり、自国通貨の安定と通貨危機に備えるために準備しておく資産のことです。外貨準備として外貨(主に米ドル)の他に、金(ゴールド)が保有されています。

注目して欲しいのは、各国の中央銀行が保有する金の合計は、約3万トンです。これは地上在庫約18万トンのおよそ17%です。株式会社で言えば、中央銀行は大株主ですよね。

つまり、大株主(中央銀行)の発言や動向は、金相場の大きな変動要因になるとともに、金(ゴールド)が通貨としての役割を果たしている根拠といえるのです。

ここで、もう一つ覚えておいて欲しい重要なデータです。

今でも、世界で最も金(ゴールド)を保有しているのは、米FRBなのです。米国は、世界の中央銀行が保有する金の約25%保有しており、2位のドイツ2倍以上です。さらに、・・・なんと・・・米国は外貨準備の75%が金(ゴールド)なのです。

最近では、ロシア、中国が積極的に外貨準備のための金保有量を増やしています。世界経済や金融に影響力のある中央銀行は金(ゴールド)の外貨準備を増やす又は高い比率で保有しているのです。

なぜ米国はこんなにたくさんの金を持つ必要があるのでしょうか?

先述した、ブレトンウッズ体制は終わりましたが、その後も米ドルは世界で最も信頼度が高い基軸通貨に変わりはありません。米国は、既に自国通貨であるドルを保有していますので、外貨準備として外国の通貨を準備する必要はありません。

その代わりとして、自国のドルの価値や信頼の裏付け・担保として金(ゴールド)を「外貨準備」として保有しているのです。

まとめ

いかがでしょうか?

金(ゴールド)の歴史を1990年以降の重要経済カレンダーに沿って振り返ることで、金(ゴールド)が、安定資産、資産管理の役割を果たしている背景・・・なぜ中央銀行は金を保有しているのか?などをご理解いただけましたでしょうか。

自分の資産は自分で管理し運用していく必要がある時代です。何に投資するのか? 投資商品の選択肢は豊富です。単に有名な証券会社や銀行(信託)銀行に預ければ安心という発想はリスキーです。

基礎的な知識で十分です。何で自分はこの投資をするのか?を少しでも投資商品の特性を理解することは、とても大切なことだと思います。