今日は、商品先物取引の銘柄のポイントや注意点を解説していきます。

先物の銘柄数は全部で15以上ありますが、その中でも特に人気が高く、利益を狙える4銘柄(金、原油、白金、とうもろこし)をピックアップしていきます。

多くの個人投資家(トレーダー)は、銘柄の特徴をしっかり理解せず、準備不足の状態で売買をしてしまい、その結果、大きな損失を被っています。

スポーツの試合でも、相手に勝とうと思えば、対戦相手の特徴や癖、データなどを前もって分析することは、欠かす事のできない準備の一つです。

商品先物取引で勝つための準備も、スポーツと何ら変わる事はありません。投資・トレードをする前に、まずはその銘柄の特徴や癖などを抑えた上で、それらに合った分析をするなどの工夫が必要になります。

~その1:金

出所・楽天証券より

商品先物取引の銘柄の中で不動の一番人気の銘柄が「金/ゴールド」です。2019年は、金価格高騰で個人投資家からの人気に拍車がかかっている状態です。

「金」の基礎知識を整理するとともに、「金」で勝つための基本戦略を解説していきます。

金の特徴

金の価値の本源は、時代の経過や激変にもかかわらず、永遠に輝きの残る永久不変性にあると言われています。

具体的には、宝飾用や電子工業用としての需要があります。劣化せず、熱伝導率がよく、壊れにくい特性を持つことからです。また、ポータビリティに優れ、世界中どこでも換金が可能であるため、資産価値としても認められています。

金の総産量は約15万トンといわれ、オリンピックプール3杯分程度の体積しかありません。以前は世界の約7割を生産していた南アフリカでは、生産量が年々減少しています。浅い鉱床(採掘して採算が取れる場所)は、堀り尽くしたと言われています。

金は原油と異なり、リサイクルが可能で無くなることはありませんが、世界の金年間生産量から計算すると、採掘可能年数は残り約20年と言われています。金は有限資源であり、希少価値が認められています。

世界が注目する経済指標の1つ

金は、原油とならび、重要な経済指標の一つでもあります。世界中の取引所で、ウイークデイは24時間絶え間なく取引されています。

価格変動要因

為替要因、インフレヘッジ、金ETF、ヘッジファンド等、金の価格を変動させる要因を、一つ一つ解説します。

為替要因(ドル高による消費国への影響)

ドル高になると、ドル建て資産の価値が高まります。ドル建て資産である米国株式、米国債などに買い意欲が高まります。

金は債権や預金とは異なり、利息がつきません。欧州などの貴金属消費国では、ドル高でユーロ建て金相場が上昇すると、金利のつかない金資産を売って、米国債などを買う流れになります。

ドル高になると、米国の輸入コストが低下する結果、米国内の輸入物価が低下しインフレ圧力も低下します。インフレ圧力が低下すると、インフレヘッジによる買い意欲が後退して、金売りの材料になるという理屈です。

各国の金融政策

世界の金融政策、特に米国の金融政策は、世界の経済にとって大きな影響があります。金価格に大きな影響を与える要因の一つです。

2008年のリーマンショック以降、米国から世界各国へ大規模な金融緩和策の流れが波及しました。大量の資金が供給され、金余りが加速し、各国の通貨安の流れが強まりました。

しかし、米国は金融緩和の出口戦略として、2015年12月に金利引き上げに踏み切る可能性が高くなっています。

この米国の金利引き上げと、欧州や日本などの金利引き下げの金融政策の方向性の違いが、ドル高を招き、その結果、2015年の金相場は下降トレンドを形成しました。

インフレヘッジとしての役割

インフレとは、物やサービスの値段が上昇することと通貨価値の下落が継続する状態のことです。

インフレの原因には、2つあります。

・景気に左右されるインフレ ・金融緩和によるインフレ

インフレ経済下では、通貨が下落します(通貨下落が先行することもある)。一方、金、株式、不動産などの実物資産の価格は上昇します。

そのため、現金・預金などの金融資産などを所有している人は、価格上昇が見込まれる金、株式、土不動産などに買い換えて、損失を回避する手段をとります。

これをインフレヘッジと言います。

デフレ時にも強い金

2000年のITバブルの崩壊により株価が大幅に下落し、デフレ経済に陥りました。世界の株価は、約2年間に渡り、下落し続けました。

しかし、金価格はその間も比較的安定して推移し、株価下落途中の2000年からは長期上昇トレンドを形成していきました。金は、デフレ時でも資産保全に有効な投資対象と認められました。

金ETF

金ETFとは、株と同様に証券取引所に上場している投資信託のことを言います。金ETFの基準額が金現物価格に連動するように設計された投資信託です。

金ETF「SPDRゴールドシェア」は世界最大の金ETFであり、米国のニューヨーク証券取引所で主に取引されています。金ETFは、東京証券取引所、アジアや欧州の取引所でも上場されています。

金ETFの登場で、今まで金投資に消極的だった顧客層の参加が促されました。

金ETF「SPDRゴールドシェア」は価値の裏づけとして、発行額に応じた金現物を保有しています。

「SPDRの金現物保有高」の増減やトレンドの把握は、金に対する投資需要の動向を予測する分析ツールで、商品先物取引で金に投資する際に必要不可欠な分析データです。

金ETFは、欧州債務危機や米サブプライム問題(リーマンショック)などの経済不安が生じたときに、安全資産としての需要が高まりました。

しかし、米国が景気回復とともに、金融緩和策の出口戦略を探り出し、米国の利上げ観測が高まると、金ETFの金現物保有残高は減少しました。

2019年の「SPDRゴールドシェア」の金現物保有残高は増加傾向であり、金価格も上昇トレンドを継続中です。

ヘッジファンドの動向

「ヘッジファンド」という名称は、どこかで一度くらいは聞いたことがあるでしょう。

ファンドとは、一般投資家から資金を集めることができるファンドと、富裕層や機関投資家といった特定の大口資金を集めるヘッジファンドの二つに分けられます。

ヘッジファンドは、デリバティブや空売りを含めたハイリスクハイリターンを含んだ様々な手法で運用して、利益を追求する集団です。このヘッジファンドは、商品先物市場を投資(投機)の対象としています。

ヘッジファンドの2015年運用資産残高は、約3兆ドルに迫っています。イメージし難い額ですが、2015年の日本の補正予算額が約3兆円ですので、それ以上の額です。

このファンド資金が商品市場に影響を及ぼしますので、ヘッジファンドの動きや売買戦略なども、常に注意が必要です。

金の取引概要と取引時間(2019年11月12日現在)

銘柄       金

呼び値(刻み値)1円/1g

証拠金    1枚/108,000円

1枚あたり、金価格が1円動くと1000円の損益が生じます。

【日中取引】午前8時45~午後3時15分

【夜間取引】午後4時30分~翌午前5時30分

(原則、土・日・祝祭日・年末年始を除く毎日)

知っていると便利

①ドル/円相場が1円動くと円建て金(東京金)価格はいくら動くか?

   ↓

 ドル建て金価格1,080ドルの場合、ドル/円1円当たりの変動は34.7円

②ドル建て金が1ドル動くと、円建て金(東京金)はいくら動くか?

   ↓

 ドル円為替123円におけるドル建て価格1ドル当たりの変動は4.0円

~その2:原油

出所・楽天証券より

次に原油を取り上げます。

原油も金と同様、商品先物取引で人気がある銘柄の1つで、大きな利益を上げられる可能性のあります。しかし、その特徴を抑えておかなければ、逆に大きな損失を被る可能性も併せ持っています。

商品先物取引で「原油」を取引する際に押さえておきたい、基礎知識を分かりやすく解説します。

原油の特徴

原油価格の代表的な指標には、WTI原油、欧州産の北海ブレント、中東産のドバイがあり、これらが世界の3大原油指標と言われています。

そのなかでも、特にWTI原油と北海ブレント原油は、その取引量と市場参加者が多く、市場の流動性や透明性が高いため、原油価格の指標にとどまらず、世界経済の動向を占う重要な経済指標の1つにもなっています。

原油は重要な経済指標

原油は世界中の取引所で、ウイークデイは24時間絶え間なく取引されています。

WTI原油は、アメリカ合衆国南部のテキサス州を中心に産出される原油で、ニューヨークマーカンタイル取引所に上場されています。

北海ブレント原油は、ロンドン国際取引所に上場されており、エネルギー関連の世界最大級市場です。

日本では、中東産ドバイ原油の円建ての先物取引が、東京工業品取引所に上場されています。

日本のテレビや新聞のニュースで取り上げられる原油価格は、WTI原油先物価格が伝えられていることが多いです。しかし、今の東京原油の価格は、北海ブレント原油の動きに一番の影響を受けて動いています。

価格変動の要因

原油価格を変動させる、主だった要因を、細かく解説していきます。

・需給報告・OPECの役割・為替要因(ドル高/ユーロ安)・各国の金融政策・最近の原油価格の動向・ヘッジファンドの影響

需給報告

毎月中旬、国際エネルギー機関(IEA)、米エネルギー情報局(EIA)、石油輸出国機構(OPEC)が、世界の石油需要の予測を出します。それぞれの機関が発表する需給見通しが、原油相場に影響を与え、将来的な価格予想をするための材料となります。

毎週火曜日にAPI(米国民間団体)、毎週水曜日にIEA(米国公的機関)が需給統計を発表し、米国の原油やガソリンの在庫量の増減が、特に目先の原油価格に影響を与えます。

IEA(米国公的機関)レポートでは、米国シェール革命(ガス、オイル)により、2035年までには、米国はエネルギー輸入が不要になると予測を出しました。既に、米国の中東に対する原油輸入依存度は低下しています。

シェールガス/オイルと化石燃料(石油や石炭)の価格競争が、どのように原油価格に影響を与えるは注目すべき材料です。

最近のOPECの役割と原油価格

OPEC(石油輸出国機構)とは、石油産出国の利益を守ることを目的として、1960年に設立されました。2014年現在、12ヶ国が加盟しており、世界最大のカルテルと言われています。加盟国が協調して生産調整を行なうことによって、原油価格を防衛しています。

世界の日量産出量のうち、OPEC(石油輸出国機構)は全体の約45%を占めています。そのOPECのなかで、主導的役割を果たしているのが、世界最大の産油国サウジアラビアです。

原油価格は、2011年から3年間は平均100ドルを超える水準で推移し、産油国は石油輸出収入で潤い、オイルマネーを稼ぎ出しました。

OPECや米国は、高水準の原油生産を続けており、供給過剰の状態になっています。また、OPECはサウジアラビアを中心に、米国のシェールオイル生産を縮小させ、OPECのシェアを守る政策をとっており、化石燃料とシェールの価格競争(安売り競争)が激化しています。

近年では、米国シェールオイルの生産性が向上し、生産コストが低下しています。その結果、世界の原油市場は、需要の伸びの鈍化もあって大幅な供給超過の状態に陥り、2014年9月以降、原油は急落し、いわゆる逆オイルショック状態になりました。

さて、原油価格は今後、いったいどのように変化していくのでしょうか・・・

予想するには、注意深い考察が必要です。情報は溢れています。原油価格は今後下落するという情報もあれば、一方で、原油価格が上昇していくという見方も存在します。

OPECの影響力がどうなのか?米国や中東諸国を中心とした原油需給のバランスがどのようになっていくのか要注目となります。

為替要因(ドル高による消費国への影響)

原油価格は、ドル安・ユーロ高になると上昇しやすく、逆にドル高・ユーロ安になると下落する傾向です。

ドル安/ユーロ高が原油高に繋がる理由は、

ドル安になると、ドル建て資産の価値が低下します。

  ↓

ドル建て資産である米国株式、米国債などの買い意欲が後退します。

  ↓

ドル安により割安となった原油資産を買う流れが強まります。

原油の売買を考えるときには、この考えを基本にして良いでしょう。

しかし、必ず基本通りに動くとは言い切れないのが相場の難しい所です。

戦争やテロ、核問題などの地政学的リスクが高まる局面では、ドル高・ユーロ安になっても、原油価格は下落せずに上昇を続けることもあります。

また、経済パニックなど、マーケット全体にリスク回避の動きが強まる局面で、ドル安・ユーロ高でも原油価格が下落することもあります。

今後、原油の需給関係はもちろん、石油産油国の地政学的リスクの増大、中国経済の変化が原油相場にどのような影響を及ぼすか、注目材料になりそうです。

各国の金融政策

世界の金融政策、特に米国の金融政策は、世界の経済にとって大きな影響があります。原油価格に影響を与える、一つの大きな要因となります。

2008年のリーマンショック以降、米国から世界各国へ大規模な金融緩和策の流れが波及して、大量の資金が供給され、金余りが加速し、各国の通貨安の流れが強まりました。

しかし、2015年12月、米国は金融緩和の出口戦略として、金利引き上げに踏み切る可能性が高くなっています。

この米国の金利引き上げと欧州や日本などの金利引き下げの金融政策の方向性の違いが、ドル高・ユーロ安を招き、2014年からの原油価格下落の1つの材料となりました。

最近の原油価格の動向

2015年の原油価格は、北海ブレント原油30ドル台、WTI原油は20ドル台後半まで下落し、2014年の価格ピーク時と比べて3分の1以下の価格まで下落しました。

2014年の北海ブレント高値は115ドル、WTI原油の高値は107ドルでした。

市場価格の秩序を守る、プライスリーダー的な存在だったOPECが更なる下落を容認したとも捉えられ、原油価格は逆オイルショックとなり下落しました。

そうなると、世界的な原油供給過は値段に織り込まれ、次は中東周辺の産油国情勢が悪化などから、原油価格は上昇しやすくなりました。

原油価格の下落により、米国のシェールオイルの採算割れの問題も指摘されます。WTI原油40ドル以下は、シェールオイルの採算割れと言われています。そのため、シェールオイルの生産が滞り、米国の石油・天然ガスを採掘するためのリグ稼働数が急激に減少し、原油価格の上昇要因になり、2019年には60ドルまで値を戻しています。

しかし、投機的な動きが過熱してくると、この採算ラインを無視して、大きく割り込んだり、上回ったりするので注意が必要です。

全ての情報を鵜呑みにしても、その情報通りに値段が動くとは限らないのです。

その点を十分に注意、分析して売買判断をする必要があります。

原油の値動きはダイナミックです。チャンスを捕らえれば、大きな利益を得ることが可能で、投資妙味があります。もちろん、予想が外れて損失を被るリスクにも十分に注意が必要です。

どの情報を受け入れて、どのように売買に活かすことは容易ではありませんが、今後の原油価格がどのような要因で変動していくか、その仕組みを知ることは、売買する前の大切な準備運動(マナー)かもしれません。

ヘッジファンドの影響

ファンドとは、一般投資家から資金を集めることができるファンドと、富裕層や機関投資家といった特定の大口資金を集めるヘッジファンドに分けられます。

ヘッジファンドの2015年運用資産残高は、約3兆ドルに迫っています。イメージし難い額ですが、2015年の日本の補正予算額が約3兆円ですので、それ以上の額となります。

このファンド資金が商品市場に影響を及ぼしますので、ヘッジファンドの動きや売買戦略なども、常に注意が必要です。

原油の取引概要と取引時間(2019年11月12日現在)

東京原油(ドバイ原油)の取引概要

銘柄       東京原油(ドバイ原油)

呼び値(刻み値)10円/1kl

証拠金    1枚/185,000円

1枚あたり10円の値動きで500円の損益が生じます。

【日中取引】       午前8時45~午後3時15分

【夜間取引】       午後4時30分~翌午前5時30分

(原則、土・日・祝祭日・年末年始を除く毎日)

知っていると便利

①ドル/円相場が1円動くと円建て原油(東京原油)価格はいくら動くか?

   ↓

ドル建て原油価格40ドルの場合、1円当たりの変動は約250円です。

②ドル建て原油が1ドル動くと、円建て原油(東京原油)はいくら動くか?

   ↓

1ドル123円の場合、ドル建て価格1ドル当たりの変動は約770円です。

~その3:白金(プラチナ)

次は白金(プラチナ)についてです。

商品先物取引において、白金(プラチナ)も根強い人気のある銘柄です。学術用語としては白金(はっきん)が正しい呼び名ですが、日常語としてプラチナと呼ばれています。

白金(プラチナ)は、酸に対して強い耐食性があり、化学的にも非常に安定しているため、装飾品だけでなく、工業用品としても多用されているプラチナは、商品先物取引においても、重要な位置を占めています。

そんな白金(プラチナ)を、商品先物取引で勝つ為の視点で解説します。

白金(プラチナ)の特徴

白金(プラチナ)の有史以来の世界総選産量は、金の約30分の1です。年間供給規模は金の約20分の1であり、金よりも希少性の高い貴金属です。プラチナ供給は、南アフリカ(約70%)とロシア(15%)で大部分を占めています。

プラチナの代表指標は、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)に上場しているNY白金です。東京商品取引所に上場している東京白金も活発に売買されています。

用途は、金の約60%が宝飾用に対し、プラチナは約60%が工業用になります。工業用需要の中では、ディーゼル車の触媒用需要が最大で、約65%を占めます。また、プラチナの宝飾品需要は全体の約30%となっています。

金、プラチナともに宝飾品として、実物資産の価値を有していますが、利用用途が大きく異なっていることがポイントです。

白金(プラチナ)の価格変動要因

商品先物取引を、『利益を上げる為の投資』と考えた場合、最も重要になるのが、価格を変動させる要因です。これを理解しない限り、商品先物取引で勝ち組になる事はできません。

以下に、プラチナの価格を変動させる要因を、細かく解説します。

①先進国や中国の需要と景気

プラチナ需要は、中国約25%、日本約10%、欧州約25%、北米約15%で、プラチナ需要全体の75%を占めます。

このため、これらの地域の景気動向に需要が左右され、プラチナ価格が形成される傾向にあります。

②自動車触媒需要とフォルクスワーゲン問題

1990年代、ロシアからのパラジウムの供給不安でパラジウムが高騰したことで、代替商品としてプラチナ需要が進みました。

また欧米諸国では、環境問題に配慮した排ガス規制から、ディーゼル車への排ガス規制が強化され、プラチナの触媒需要が増加しました。

しかし、2015年9月にフォルクスワーゲン社がアメリカでディーゼル車を売るために不正を行い、フォルクスワーゲン販売のディーゼル車48万台がリコールされました。全世界で1100万台ものディーゼル車が不正に関わっている可能性があると見られました。

ディーゼル車で行われた不正なので、ディーゼル車のイメージが悪化して、今後ディーゼル車からガソリン車へシフトするかもしれない、との懸念が増加しました。

ディーゼル車の排ガス用触媒としてのプラチナ需要が減退し、プラチナ価格下落の一要因になりました。

③パラジウムとの関係

パラジウムの最大生産国はロシアで、世界生産の約4割を占めています。

プラチナの最大生産国は南アフリカで、世界生産の約7割です。

2015年9月に独フォルクスワーゲンの排ガス不正処理事件が発覚してから、欧州ディーゼル車が低迷し、ガソリン車に需要が高まり、その触媒となるパラジウムの需要が高まりました。

パラジウム価格は、一時、白金(プラチナ)価格の2倍以上に急騰しました。

さらに近年、中国では自動車触媒向けのパラジウム需要が拡大しています。

④投資用需要

プラチナ需要の約10%は投資用です。その中でも、ニューヨーク証券取引所やロンドン証券取引所に上場しているプラチナ投資信託(ETF)の需要が増加しています。

プラチナETFの裏付けは、プラチナ現物なので、プラチナ価格(ETFの発行額価格)とETFのプラチナ保有残高は、密接な関係をもっております。

プラチナETFの需要増加が、白金価格に与える影響や役割が注目されます。

⑤生産国の供給問題

プラチナの世界最大生産国である南アフリカの鉱山会社の労使紛争、ストライキなどで供給不安が生じると、プラチナ価格が上昇することがあります。

過去の大規模ストライキで供給が大混乱した経験から、各鉱山会社はスト発生時にも供給不足に陥らないような在庫を準備してきました。

最近は、短期的なストライキ程度では、価格に影響しないこともあります。

市場への限定的な供給量に加えて、長期ストライキが発生すれば、再び価格が高騰することも十分に考えられます。

⑥先進国の景気と株価動向

ゴールド(金)は紙幣資産の代替品、安全資産としての通貨の役割を果たすことから、株式市場と逆の動きをすることがあります。

例えば、株式相場が上昇すると、金は下落する、株式市場が不況になると、安全資産の金が買われるというイメージです。(そうならないこともありますが。)

プラチナ(白金)は、工業用品(主に自動車触媒用として)としての需要が強く、経済動向に需要が影響する為、金と比べると、株価に順じて動く傾向です。

⑦為替要因

<ドル/円> ドル/円相場がドル高/円安になれば、東京白金の換算値段が上がり、東京白金は上昇します。(ドル建てプラチナ価格の変動は考慮しない)

逆にドル安/円高では、東京白金の円換算値段が下がり、東京白金価格も下がります。(ドル建てプラチナ価格の変動は考慮しない)

<ランド/ドル、ルーブル/ドル>

プラチナ最大生産国の南アフリカの通貨ランドの下落により、南アフリカの鉱山会社はドル建てのプラチナ価格が下落すると同時に、ドル建ての採算コスト下がります。

生産国がNYプラチナの下落に耐えられる環境を備えたことも、プラチナ価格の下落に繋がった可能性の1つです。

また、ロシアの通貨ルーブルや原油価格の下落でロシア経済が低迷したことで、ロシアがプラチナ備蓄を放出するのではないか、との懸念が強まっていることも、プラチナ市場における売り材となっています。

白金の取引概要と取引時間(2019年11月12日現在)

銘柄       東京白金(プラチナ)

呼び値(刻み値)1円/1g

証拠金    1枚/78,000円

1枚あたり1円の値動きで50円の損益が生じます。

【日中取引】       午前8時45~午後3時15分

【夜間取引】       午後4時30分~翌午前5時30分

(原則、土・日・祝祭日・年末年始を除く毎日)

知っていると便利

①ドル/円相場が1円動くと、円建て東京白金価格はいくら動くか?

   ↓

ドル建てプラチナ価格850ドルの場合、ドル/円1円当たりの変動は28円

②ドル建てプラチナが1ドル動くと、東京白金はいくら動くか?

   ↓

ドル円為替123円におけるドル建て価格1ドル当たりの変動は4.0円

~その4:とうもろこし

次は「とうもろこし」の銘柄について解説していきます。

「とうもろこし」の特性を抑えることは、原油や金と同様に、利益獲得のために必ず必要なプロセスです。商品先物取引の「とうもろこし」で押さえておきたい基礎知識を分かりやすく解説します

「とうもろこし」は一年生作物であり、金や原油と異なる独自の季節性価格変動要因があります。近年は残念ながら人気薄の銘柄となっており、取引量も閑散としています。ただ、海外の先物銘柄の中では人気銘柄なので、ここでご紹介いたします。金のようにとうもろこし価格が高騰してくれば、先物銘柄として人気復活!となるかもしれません。

とうもろこしの特徴

「とうもろこし」はシカゴ商品先物取引所に上場している「シカゴコーン」が代表指標です。そのため、「東京とうもろこし」の価格変動を捉えるためには、指標となる「シカゴコーン」の価格変動予測が重要になります。

「とうもろこし」は一年生作物であり、金や原油と異なる独自の季節性価格変動要因があります。

日本では、東京商品取引所に「東京とうもろこし」が上場していますが、近年は残念ながら人気薄の銘柄となっており、取引量も閑散としています。

用途

とうもろこしは、米・小麦とともに生産・消費が多く、世界3大穀物の一つです。用途としては主に、家畜などの飼料、食品用、エタノールの原料などが上げられます。

燃料用アルコールであるエタノールは、米国を中心としたエタノール政策により、自動車用ガソリンに混ぜて利用され、大きな需要があります。

とうもろこしの価格変動要因

とうもろこしは作物であることから、他の銘柄とは違った価格の変動要因があります。

①天候相場と需給相場

在庫率の重要性と需要見通し

ファンドの動向と外部要因

国内外の内部要因

これらを一つ一つ、詳しく解説します。

①天候相場と需給相場

天候相場とは、コーン、大豆、小麦などの農産物特有の季節性現象で、天候次第で価格が大きく高下する時期のことです。

米国産とうもろこしの作付けは、4月中旬頃から6月上旬までの間。収穫は9月から11月までです。作付けから収穫までは約半年かかり、その時期は産地の天候に大きく影響されます。この半年間が天候相場です。

米国は世界最大の生産国であり、米国のコーン作付面積は日本の国土の約9割にも及びます。米国中西部に生産地域が集中しており、米国産とうもろこし生産高の約80%、世界総生産高の約30%を占めます。

そのため、世界のとうもろこし価格は、この地域の天候や生育、収穫状況次第で決まると言っても過言ではありません。

「過去の天候相場による価格高騰の例」

2012年には米国の大干ばつ、高温、乾燥により、とうもろこしの供給ひっ迫が懸念されて、シカゴコーンは8ドル台/1Bu、東京とうもろこしは、5万円台/1tの史上最高値を記録しました。

2015~2016年は、スーパーエルニーニョ現象発生の影響で、世界的な異常気象が起こる可能性があると報道されています。

ブラジル、アルゼンチンなど、南米産とうもろこし生産国の作付けは、米国の収穫時期終盤の10月頃から始まり、収穫は米国作付け時期の4月頃になります。

今後、南米に異常気象が起こり、南米産とうもろこしの生産が激減するようだと、米国産のコーンに需要が集中して価格高騰する可能性があります。

また、米国産とうもろこしの作付けや生育に支障を及ぼす異常気象が続けば、現在史上最安値圏に位置するシカゴコーンの価格が上昇する可能性があります。

とうもろこしは、水分の吸収量が多く、生育が速いため、極度の高温と干ばつに弱いと言われています。本来なら非常に生産性が高い穀物ですが、気温が上昇すると、とうもろこしは熱衝撃を受けることになり、生産に支障が出ます。

2012年に史上最高値をつけた原因も、やはり高温・干ばつでした。

しかし、エルニーニョ現象が発生しても、必ずコーン相場が上昇する訳ではありません。1998年は、過去最大規模のエルニーニョ現象が発生しましたが、シカゴコーンは平年並みの生産量を確保しました。

2014年にもエルニーニョ現象が発生しましたが、米国産コーンは歴史的な大豊作を記録して、シカゴコーン価格も史上最安値を記録しました。

あくまでも、コーンや他穀物の作付け、生育に支障がでるような異常気象が発生して初めて、価格高騰につながるのです。(特に高温、干ばつ)

エルニーニョ現象発生=とうもろこし価格上昇、ではないので注意が必要です。

需給相場

収穫時期の9月後半から翌年の作付け前の3月までは、需給相場となります。収穫された新しい穀物の生産量、消費量、在庫量等で価格が変動します。

穀物相場は、「需給に始まり需給に終わる」と言われることがあります。

とうもろこしの需給関係は、価格形成の基礎となる最も重要なファクターと言えます。

米国農務省需給報告(世界農産物需給予測)

世界レベルでの代表的な需給報告として、毎月10日に、米国農務省(USDA)から、世界及び米国のとうもろこし、小麦、大豆などの最新需給報告が発表されます。

その他にも、とうもろこしにとって重要な需給関係報告が発表されます。

民間会社やアナリスト等も、独自調査を基に米国農務省の発表の数日前に、需給予想を公表します。米農務省が発表する実際の数字が民間の事前予想と大幅にずれたり、需給バランスが大きく変化すると、相場が大きく動きます。

その他の需給関係報告

作付け意向面積(毎年3月末)

最終確定作付け面積(毎年6月末)

全米穀物在庫(1月、3月、6月、9月/年4回)

生育状況(4月~11月までの毎週月曜日)

週間輸出成約高

週間輸出検証高

②在庫率の重要性と需要見通し

とうもろこしの需給分析で特に重要なものは在庫率です。

在庫率=期末在庫÷総需要(米国内需要+輸出需要)で計算できます。

在庫率は、穀物年度末(8月末)の時点で、何日分の需要を満たすだけの在庫があるかを計る指標です。

在庫率が10%であれば、365日(1年)×10%=36日ということで、36日分の在庫があるということになります。

トウモロコシの適正な在庫率は10~15%と言われています。2015年12月の在庫率は13.1%です。2012年にとうもろこしが史上最高値をつけたときの在庫率は5%を下回っていました。

需給統計が発表される前には、民間会社が生産高や期末在庫について事前予想を発表します。事前予想と大きな乖離があるときには、サプライズ材料となり、相場が大きく動きます。

大豆(粕)、小麦などの競合商品にも注意

飼料用として、大豆粕は競合商品です。小麦も価格が下がったり品質が低下した場合には、飼料向けに回されます。

小麦が豊作になると、小麦に飼料用需要を奪われ、とうもろこし相場が下落する可能性があります。

作付け意向面積

毎年3月末に、とうもろこしの作付意向面積が発表されます。この内容は、米国農家がその年、大豆・トウモロコシ・小麦などの穀物のうち、3月1日時点で何を作付生産する予定かを、アンケート集計したものです。

農家は、一番利益を得られる穀物を作付けするはずです。作付時に価格が安いものより高いものを選択しますので、3月の作付け意向面積アンケート時のとうもろこし、大豆、小麦価格が、判断要素になります。

③ファンドの動向と外部要因

金や原油と同様に、資金を贅沢に保有するファンドが、シカゴコーンや東京とうもろこしの取引に参入しています。

このファンドの売買が価格に影響を及ぼしますので、ヘッジファンドの動きや売買戦略なども、常に注意が必要です。

外部要因

とうもろこしの需給関係以外の外部要因でも、価格が動くことがあります。

例えば、株価急落、経済危機などを理由に、マーケット全体にリスク回避の動きが高まり、とうもろこし市場に参加している投機筋やファンド筋が、とうもろこしを手仕舞い売りしたり、カラ売りに動いたりすることです。

2015年12月は、米国が利上げに踏み切ることが確実視され、利上げによる経済への副作用が警戒されました。株式市場やドル資産を手仕舞い、マーケット全体にリスクオフのムードが広がりました。

また、原油安に連動するように、他の商品銘柄にも投機マネーの売り圧力が増し、リスク回避の流れが強まりました。とうもろこしに対しても、それらの影響があったと言えるでしょう。

④国内外の内部要因

海外内部要因シカゴコーンの内部要因として、米国現地毎週金曜日に発表されるCFTC(米国商品先物取引委員会)のファンド取組み(ポジション)の内容詳細があげられます。

このポジションの推移を継続的にチェックすることで、市場におけるファンドポジションがどのように変動しているかを把握して、内部要因分析に使用できます。市場価格の先導役とも言われるファンドの動向を掴むことは、売買のアドバンテージになります。

国内内部要因

シカゴコーン(外電)は反発、為替も円安。円換算では、東京とうもろこしは、前日比150円高の計算のはずが、実際は300円下落してしまうような、個人投資家にとっては不可解なことが起こったりします。

その原因は、国内の内部要因による可能性が高いです。

内部要因とは、出来高、取組高、売買比率、大口や仕手筋の売買や建玉手口など、市場内部にある材料が相場を動かすことを言います。

東京とうもろこしは、金や原油に比べて、短期的に、この国内内部要因により需給や理論値通りに価格が動かないことがあります。デイトレードを含む短期取引が、需給を無視することもあるのです。

国内内部要因主導により、シカゴコーンの円換算値を無視した価格の継続性はなく、修正されます。しかし、国内内部要因は、個人投資家にとってリスクになることが多いので、十分な注意が必要です。

とうもろこしの取引概要と取引時間(2019年11月12日現在)

銘柄       とうもろこし

取引単位(1枚)              50トン/1枚

呼び値(刻み値)              10円/1トン

証拠金    1枚/60,000円

1枚あたり10円の値動きで500円の損益が生じます。

【日中取引】       午前8時45~午後3時15分

【夜間取引】       午後4時30分~翌午前5時30分

(原則、土・日・祝祭日・年末年始を除く毎日)

知っていると便利

①ドル/円相場が1円動くと東京とうもろこし価格はいくら動くか?

   ↓

シカゴコーン3.75ドルの場合、ドル/円1円当たりの変動は約220円。

②シカゴコーンが1セント動くと、東京とうもろこしはいくら動くか?

   ↓

ドル円為替123円におけるシカゴコーン1セント当たりの変動は約50円。

③フレー(米国からの海上運賃)が1ドル動くと、東京とうもろこしはいくら動くか?

   ↓

為替やシカゴコーン価格、その他の諸条件が一定として、フレート1ドルの変動で、約100円の動き。

以上のように、とうもろこしは、需給バランスを基本として、様々な価格変動要因が存在します。

とうもろこしの銘柄の特性や癖などを掴み、「とうもろこし」の銘柄にチャレンジしてみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今日は、商品先物取引の上場銘柄である、金、原油、白金(プラチナ)、とうもろこしの銘柄の特徴を解説させていただきました。

銘柄の特徴を把握して、是非とも商品先物取引にチャレンジしてみてください!

商品取引について、各銘柄のご相談は、商品先物取引の専門コンサルタントが今なら無料で受け付けています。